ご祭神について
素盞嗚尊(すさのをのみこと)と神大市比売(かむおおいちひめ)との間のお子さまで衣食住を司る神。稲の精霊であり、穀物の神として古くから崇敬され、一般に稲荷大神(いなりおおかみ)と信仰されている。
『日本書紀』では、月読命(つきよみのみこと)が天照大御神(あまてらすおおみかみ)の命により葦原(あしはら)の中国(なかつくに)に保食神(うけもちのかみ)を訪ねられたとき口から色々な食物を出してもてなされたことや、体内に粟、稲、稗、麦、大豆、牛、馬、蚕などが化成したといった記事があり、穀物の種の始まりとして、この神をあがめている。
古事記によると伊邪那岐、伊邪那美二神が国生みのときに生まれた大宜都比売(おおげつひめ)、また和久産巣日神(わくむすひのかみ)のお子さまである豊宇気毘売神(とようけひめのかみ)とも同一神であるといわれる。
豊受大神(とようけおおかみ)は皇太神宮の御饌都神(みけつかみ)として伊勢の外宮に斎きまつられている。
主神 宇迦之御魂大神(うがのみたまのおおかみ)
大国主神(おおくにぬしのかみ)が田心姫命(たごりひめのみこと)を娶って生まれた神で、国や家庭、事業の安泰を司る神。
天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天孫降臨に先立ち、天穂日命(あまのほひのみこと)を遣わされ、ついでに天稚彦(あまのわかひこ)を遣わされたのに、この神は下照姫(したてるひめ)と結婚して滞留したまま復命しなかった。そのため高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)の怒りにふれて、天稚彦が誅せられ、その妻・下照姫の哭き悲しむ声が天にも達したという。あと下照姫の兄耟味高彦根神(あじすきたかひこねのかみ)が天稚彦の喪を弔われたとき、下照姫は歌を詠じ、兄神の御名を顕し給うたと。
別名 妹高姫命(いもたかひめのみこと)とも若國玉命(わかくにたまのみこと)ともいわれる。
下照姫命(したてるひめのみこと)
天照大御神の御妹神ともいわれ、身体の創生ならびに精神の安定を司る神。
高天原で斎服殿(いむはたどの)に坐して神衣を織っておられたとき、荒々しく天斑駒(あめのふちごま)を逆剥(さかはぎ)にして殿内に投げ込む素盞嗚尊(すさのをのみこと)の暴挙に遭い、機より落ちて亡くなられた。
のちの神功皇后(じんぐうこうごう)が新羅(しらぎ)から凱旋のみぎり、この神の神託により活田長峡國(いくたながをのくに)に和魂(にぎたま)をお祀りされたとある。高野山の鎮守 丹生都比売命(にふつひめのみこと)もこの神の別名といわれる。
稚日女命(わかひるめのみこと)
伊邪那岐神(いざなぎのかみ)が黄泉(よみ)の國から逃げ帰り、筑紫の日向橘小門阿波岐原(ひむかのたちばなのをどのあはぎはら)で禊(みそぎ)をされたとき、左の眼から天照大御神、右の目から月読命(つきよみのみこと)、そのあとに素盞嗚尊(すさのをのみこと)がお生まれになった。
月読命は夜の食國すなわち月の世界を統治せよと命を受け月の神、暦を司る神といわれている。
暦は満潮干潮にも影響するので、漁業にも関係が深く、古くから生活に密着した神として崇敬されてきた。
月読命(つきよみのみこと)
伊邪那岐(いざなぎ)・伊邪那美(いざなみ)両神のお子さまで、火の神すなわち火を司る神。
この神の生まれたとき、伊邪那美神が焼死されたので、伊邪那岐神は嘆き悲しみ、怒りのあまり、腰に帯びた十拳剣(とつかのつるぎ)で軻遇突智神(かぐつちのかみ)の首を斬り落とされた。
ところが剣についた血から多くの神が化成、体内からも多く金山(かなやま)にかかる神々が生まれたとある。別名 火産霊神(ほむすびのかみ)、火之夜藝速男神(ほのやぎはやをのかみ)ともいわれ、金銀財宝の守護、金運、招福、鎮火、防火の神として、また縁結び夫婦和合にもご利益があると広く崇敬されている。